血液が正常な人はわずか・紙一重

2023.02.23 (金)

どろどろな状態

バラバラないい状態

大動脈解離とは、外側から“外膜”、“中膜”、“内膜”という3つの層で成り立っている大動脈と呼ばれる血管の内膜が裂け、中膜の隙間に血液が流れ込んで血管が縦方向に剥がれるように裂ける(解離する)病気です。

大動脈は心臓から送り出された血液がまず流れ込む太い血管で、そこから全身の臓器に血液を送る血管が枝分かれしています。大動脈解離は、心臓から出てすぐの場所にあたる上行大動脈が解離しているかどうかにより2つのタイプに分けられます。上行大動脈が解離している場合は“スタンフォードA型”、上行大動脈は解離せず、背中やお腹へ向かう下行大動脈が主に裂ける場合は“スタンフォードB型”です。スタンフォードA型は解離した上行大動脈の破裂を引き起こしやすく、破裂すると直ちに命に関わる状態となることから、発症した場合は早急な治療が必要となります。また、解離の範囲によってさまざまな症状が現れるのもこの病気の特徴であり、前触れもなく突然発症するのが一般的です。

主な原因は高血圧などに起因する動脈硬化であり、70歳代で発症するケースがもっとも多いとされています。

原因

大動脈解離は、大動脈にかかるストレスの大きさと大動脈の壁の強さのバランスが崩れることにより発生すると考えられています。

大動脈にかかるストレスが大きくなる原因としてもっとも知られているのは高血圧であり、発症者の3人に2人は高血圧の既往があるとの報告があります。また交通事故などによる胸部の強打などが大動脈への強いストレスの原因となることもあります。一方で大動脈の壁の強さが低下する原因として、組織が脆弱ぜいじゃくになる生まれつきの病気であるマルファン症候群エーラス・ダンロス症候群など、大動脈の生まれつきの病気である大動脈縮窄症だいどうみゃくしゅくさくしょう動脈管開存症などが知られています。また特に原因がない場合でも、加齢によって大動脈の壁が脆弱化する傾向にあるため、高齢者に大動脈解離を発症するケースも少なくありません。

症状

大動脈解離は何の前触れもなく発症するのが特徴で、解離が起こった範囲に応じて胸や背中に強い痛みが起こります。大動脈が解離を起こすと、中膜に血液が流れ込んで血管の壁が非常に薄くなるため、破裂しやすい状態となります。特に心臓に近い部位(上行大動脈)に大動脈解離が発生すると破裂しやすく、破裂した場合は心臓を包む膜に漏れ出した血液がたまる“心タンポナーデ”や、心臓の機能に異常が引き起こされる“心不全”を発症し、発症から間もなくして死に至るようなケースもあります。

また大動脈が解離することで、大動脈から枝分かれする血管の血行が途絶える場合があります。たとえば脳や腸、腎臓などの重要な臓器や心臓の筋肉に血流を送る血管の血行が途絶えると、心筋梗塞しんきんこうそく脳梗塞腎梗塞など命に関わる合併症を引き起こすことがあります。このような血行障害による症状は、障害を起こした臓器によって大きく異なります。そのため、大動脈の病気とは関連がないと考えられるような症状が現れるケースも少なくありません。たとえば腸への血流が低下することで腹痛や腰痛が引き起こされたり、手足への血流が低下することで手足の冷感や痛みが引き起こされたりする場合があり、まずほかの病気を疑って検査を進めたのちに最終的に大動脈解離との診断にたどり着くことがあります。

 

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